中国の習近平国家主席は21日、シティ・オブ・ロンドンで演説した際「シティ・オブ・ロンドンは中英の深い協力の縮図であると同時に、世界の開放を生き生きと示してもいる」と述べた。同日、習主席は中英ビジネスサミットで挨拶した際「中国側はロンドンと欧州における人民元の国際化の過程を重視しており、引き続きロンドン人民元オフショア市場の発展を支持するとともに、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、アジアインフラ投資銀行(AIIB)など多国間金融機関で英側との協力を強化する」と指摘した。国賓としての多忙な訪問の中、習主席がシティ・オブ・ロンドンを特に訪れて演説と挨拶を行ったことは、中英の金融協力を中国側が強く重視していることを十分に示すものであり、将来の中英金融協力の方向性を指し示した。(文:石建勲・本紙特約論説員、同済大学財経研究所所長、経済・管理学部教授。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
中英の金融協力はどのような面で取り組む価値があり、前面に立つことができるのだろうか?
第1に、両国の経済・貿易協力に資する。近年、経済・貿易・投資分野で中英の協力は際立った成果を挙げている。中国は英国にとって第4の貿易パートナーであり、英国は中国にとってEUで第2の貿易パートナー、かつ欧州における最大の投資先国だ。投資と貿易の急速な成長は必然的に金融サービスの一層の需要をもたらす。中英の金融協力の深化は、双方の投資・経済・貿易協力を効果的に促進するうえで必要な措置だ。中英の投資・経済・貿易協力の一層の拡大は、中英金融協力に一層の発展の余地をもたらしもする。
第2に、人民元の国際化を加速する。近年、中英金融協力は急速に発展しており、人民元の国際化は中英金融協力の重要な内容となり、ロンドンはアジア以外で最大の人民元オフショア取引センターとなっている。先週水曜日、中国人民銀行とイングランド銀行は通貨スワップ協定を締結した。規模は3500億元/350億ポンドまで拡大され、中国人民銀行はロンドンで50億元の中央銀行手形を発行した。両措置はロンドンにおける人民元市場の一層の発展を支え、人民元資産取引、資産管理業務の発展を促すことが期待される。
第3に、ロンドン、上海、香港の国際金融センターとしての地位と役割を一層高める。香港と上海は中国の国際金融の中心都市であり、香港、上海とロンドンとの金融協力・交流の強化は、中国金融の国際化を加速する早道だ。
第4に、国際通貨金融システムの改革と多元化を促進する。中英関係はすでに二国間の範疇を超え、戦略的意義と世界的影響力を強めている。今年3月に英国は中国の提唱したアジアインフラ投資銀行への参加を他の西側諸国に先駆けて申請し、模範的役割を果たした。中英両国の経済・金融協力の強化は両国に恩恵をもたらすだけでなく、グローバル・ガバナンス体制のより公正で合理的な方向への発展を促す助けにもなる。将来、中英両国は国際通貨・金融体制改革を積極的に推進し、ポンドと人民元の国際的地位の向上に努力し、国際通貨の多元的発展を促進するべきだ。
現在世界経済は急変し、回復過程は曲折を経ており、中英は共に改革、発展、イノベーションという課題を抱えている。世界的影響力を持つ大国である中英が金融協力を含む全方位的協力を深化することは、明らかに両国関係の「黄金時代」の価値を増すと共に、世界経済の回復と発展にプラスのエネルギーを注入する。(編集NA)